『その電話って…?』


・所要時間3分と少し。

・登場人物

酒谷丸男(さけたに まるお)…30代男。誰かと電話している。基本的に元気だが、時折、不穏な雰囲気。

カフェの客リスナーの皆さん(聴いてるだけでおk)



暑い夏。酒谷がカフェに入店する。


酒谷「すみません!アイスコーヒーください!」

酒谷「あっついな。」


酒谷がスマホで電話をかける。


酒谷「あ、もしもし?俺だよ俺俺。」

酒谷「あー、うん。まあ、そんな感じになってるね。」

酒谷「うん。ごめん!よろしく。」

酒谷「あっ!例のカフェね。そうそう。じゃ、あとで!」


酒谷が深いため息をする。

独り言をぽつり。


酒谷「もうそろそろだな。」


酒谷のスマホが鳴る。


酒谷「はーい。もしもし。」

酒谷「いやあ、なんとかうまく行きそうだよ。例のブツも手配したし!」

酒谷「え?金?」

酒谷「あー。まあ、任せとけって。」

酒谷「うん。そこは、何とかするから!」

酒谷「金の出どころ?」

酒谷「ん〜!言えないなあ。」

酒谷「てか、お前も察してるだろ〜?」

酒谷「そーいうことで、じゃ、今後もよろしく〜」


電話を切る。

また、独り言をぽつり。


酒谷「大丈夫かな。こんなことして。」

酒谷「あ!」


酒谷、慌てて電話をかける。


酒谷「あ!もしもし!ごめん度々。」

酒谷「申し訳ないんだけど、ちょっと遅めに来れたりしない?」

酒谷「いや、ちょっと仕事でさ。ごめん!」

酒谷「あー。ありがとう。よろしく!」


電話を切る。

また、酒谷が独り言をぽつり。


酒谷「やべぇな。」


また、慌てて電話をかける。


酒谷「もしもし!俺俺!」

酒谷「いや、ヤバいこと思い出してさ。」

酒谷「ほんとにヤバいって。このままじゃ失敗する。」

酒谷「だから!ヤバいの!」


最悪なタイミングでアイスコーヒーが来る。


酒谷「(小声で)あ、ちょっと待って。」

酒谷「ありがとうございます!あ、ガムシロップもらってもいいですか?」


店員が去る。


酒谷「(少し小声で)とりあえず、ここじゃ話せないからLINEする。」

酒谷「うん。ごめんなあ。また後で!」


酒谷、深いため息。

独り言をぽつり。


酒谷「ヤバいな。」


ガムシロップがやって来る。


酒谷「あ!すみません。ありがとうございます。」


酒谷、ものすごいスピードでLINEを打つ。


酒谷「ふぅ。」


酒谷の電話が鳴る。


酒谷「はい。俺です。」

酒谷「LINE見た?」

酒谷「そーなんだよ。ヤバいだろ?」

酒谷「このままじゃ、まずいから。」

酒谷「そう。その運びで、よろしく頼むわ。じゃ!」


また、酒谷の電話が鳴る。


酒谷「はい!もしもし!?」

酒谷「え?やっぱり早く着きそう?」

酒谷「仕事あるならカフェで待ってる!?」

酒谷「いや!別に困らないけど。」

酒谷「いやいや!大丈夫!」

酒谷「もうカフェいるし!」

酒谷「うん!じゃ、待ってるね。」


焦る酒谷。


酒谷「ヤバいヤバいヤバい。」


焦って、また電話をかける。


酒谷「もしもし!?ヤバいって。」

酒谷「もう来ちゃうよ!!!」

酒谷「落ち着けって?無理だろ。この状況。」

酒谷「だから!!!指輪!!!発送する日!!!間違えたの!!!」

酒谷「もう無理だよ。」


カフェの入店のベルが鳴る。


酒谷「あ!!!(小声で)彼女きたわ。また後でな。」


酒谷、焦ってしまい、先走る。


酒谷「さちこ!!!俺と!!!結婚してください!!!」


~完~